エアコンのない住宅やオフィスなんて今では考えられないが、日本が戦後復興期から高度経済成長期にかかるこの頃、クーラーのある会社や家庭は、ひと握りのハイソサエティーに限られていた。
一般家庭ではようやく電気洗濯機、電気(ガス)炊飯器、電気冷蔵庫、テレビ受像機(白黒)といった電化製品が普及しつつあった。マイカーなど庶民にとっては夢のまた夢。伊丹ダイキン空調は、時代を先取るかたちでルームクーラーの販売を手掛けた。
クーラーが身近な存在になるのは、東京オリンピック(1964年)以降。この頃“3C”が皆のあこがれだった。
つまりカラーテレビ、カー(自動車)、クーラーの頭文字Cを取ってそう呼ばれたのである。そんな時代も昔話になってしまっているが。